2023/06/02
契約社員や派遣で働くなら知っておきたい「5年ルールと3年ルールは、どこが違う?」
「3年以上は働けない?」「5年働いたら正社員になれるの?」
派遣社員や契約社員で働く際、よく見かける「3年ルール」「5年ルール」ですが、意外にわかりづらく、誤解も多いようです。
今回は、「3年ルール」と「5年ルール」の違いについて解説します。
「3年ルール」は派遣社員のみが対象
「3年ルール」とは、2015年より施行された「労働者派遣法」改正法をさします。対象は派遣社員のみで、アルバイト・契約社員は対象ではありません。
派遣社員の待遇改善を目的に改正されたルールで、内容は、「同一の事業所の同一の部署において、同じ派遣社員による派遣就業は、原則として最大3年までとする」というもの。
一見すると改善に思えませんが、3年以上継続して同じ職場で派遣社員として働く場合、派遣元に次のような措置を行う義務が発生するようになったのです。① 派遣先への直接雇用の依頼、② 新たな派遣先を提供、③ 派遣元での無期雇用、④ その他安定した雇用の継続を図るための措置。
「3年ルール」のメリット・デメリット
登録型派遣として同じ事業所で3年を超えて働くことができなくなりましたが、3年以上働けば、派遣先企業から直接雇用され、正社員になれるチャンスが生じたわけです。
とはいえ、派遣先企業が有期雇用派遣を望んでいる場合や、無期雇用の正社員への形態変更に伴い企業の負担が増えることから、直接雇用は難しいのが現実。
しかし「3年」働いた後、派遣会社から新たな派遣先を紹介される制度が整ったので、3年たてば別の派遣先企業に移って新たな経験やスキルを得て、キャリアを積むことができるのはメリットです。
「5年ルール」は有期雇用契約者すべてが対象
「5年ルール」とは、2013年より施行された「労働契約法」改正法を指します。対象は、「契約期間が設けられている雇用形態」の非正規社員すべてで、派遣社員も契約社員もアルバイトも含まれます。
「5年ルール」は「3年ルール」とはまったく別物。内容は「同一の企業との間で有期雇用契約の更新を繰り返し、通算5年を超えて更新された場合、有期契約労働者には無期雇用転換への申し出の権利が発生する。申し出があれば、雇用主は無期雇用に転換しなければならない」というものです。
「5年ルール」のメリット・デメリット
「5年ルール」による無期雇用への道が生まれたことで、短期契約ではモチベーションを保てないという方にとっては、安定した雇用の継続が望めるようになりました。
しかし、無期雇用といっても必ずしも正社員と同じ条件での採用ということではないので、無期雇用に転換することでかえって条件が悪くなるケースもあるようです。
また、あくまでも無期雇用転換への「権利」であり、労働者自ら申し出なければ無期雇用にはならないので要注意です。
長期的キャリア形成の選択幅が広がる
「3年ルール」と「5年ルール」の違い、お分かりいただけましたか?いずれも有期雇用者の弱い立場を守るべく、有期雇用から無期雇用への転換を可能としたルールです。
いきなり門戸の狭い無期雇用を選ぶ前に、まずはスキルアップを目指して派遣社員や契約社員から始めて、無期雇用を目指せる選択肢とも言えます。派遣社員や契約社員で働くならルールを知った上で、ご自分の長期的なキャリア形成を考えてみましょう。